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仕事が終わり、会社を出て、今日は何を(iPodで)聴きながら帰ろうかなと横断歩道を渡っていると、前方から若い男がすごい勢いで走ってきた。僕の脇を通り過ぎるとき、彼のポケットから何かが落ちた。僕のちょうど目の前に落ちたのは携帯電話だった。僕はすかさず拾い、普通ならすぐに彼を追いかけただろうが、その携帯が僕とまったく同じものだったため、疲れた僕の頭はしばし混乱した。これは実は僕の携帯なんじゃないか?と。でもまあ数秒でそんなわけないと我に帰る。「僕の携帯にはこんな蜂のぬいぐるみなんかついてない!」 と、振り返り彼を探すともうかなりの距離がある。なんといっても彼はものすごい勢いで走っているのだから。僕は珍しく躊躇せず、彼を追いかけた。もちろんなかなか距離は縮まらない。僕は短距離が苦手なのだ。ようやく声が届きそうな距離まで追いつき、僕は「すいませーん(ぜぇー、ぜぇー)」と声をかけた。が反応なし。三回ほど繰り返すが効果がない。これは追いつくしかないと覚悟を決め、僕は本気で走った。彼の後方3mまで近寄ったとき、なぜ声が届かなかったかが分かった。彼は走りながらイヤホンで音楽を楽しんでいるのだ。ようやく横に並び、肩をただき、携帯を渡す、彼は「どうも」と当たり前のように言って、そのままスピードもゆるめずに走り去っていった。
僕は、「バド・パウエルの芸術」を聴きながら帰ることにした。
by smpinkd
| 2004-12-21 23:45
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